音楽会・発表会で輝くクラスづくり
前回の記事「小学生の合奏曲選びのコツ」では、曲選びのポイントや子どもたちが楽しめる工夫についてご紹介しました。
今回はその続きとして、「選んだ曲をどう仕上げていくか」「どうしたらクラス全体で心をひとつにできるか」に焦点を当てて、本番で輝くための合奏づくりのコツをお伝えします。
「とまらずできた!」を最初のゴールにする
合奏練習の初期段階で重要なのは、「まず最後まで通せるようにすること」
完璧に演奏しようと細かい部分から始めると、子どもたちの集中力が途切れがちです。
まずは「止まらずに通す」ことをゴールにして、成功体験を積ませましょう。
通し練習をする中で、自然と苦手な部分やテンポのズレが浮かび上がってきます。
それを“発見タイム”として共有すると、子どもたち自身が課題を意識するようになります。
◆ ポイント
- 間違っても止まらず、最後まで演奏する。
- 通したあとに「よかったところ」「直したいところ」を発表し合う。
- できた実感を全員で共有する。
「最後まで止まらない!」を合言葉にすることで、合奏の流れを早い段階でつかむことができます。
少人数・パート別で“支え合うチーム”を作る
全体合奏ばかりでは、個々の音が埋もれてしまいがち。
パートごとに練習時間を設けて、役割を理解し合う時間を作りましょう。
- 打楽器チームは「リズムの柱」
- リコーダーや鍵盤ハーモニカは「メロディの主役」
- 木琴や鉄琴は「音の彩り」
それぞれの役割を明確にすることで、「自分がクラス全体を支えている」という自覚が生まれます。
パートリーダーを立てて「今日は自分たちの音を聴いてもらおう!」といった発表形式の練習にすると、子どもたちの責任感と集中力がぐっと高まります。
「聴く力」を育てる合奏練習を取り入れる
合奏がバラバラに聴こえる原因の多くは、「自分の音しか聴いていない」ことです。
“合わせる力”を育てるには、「聴く練習」を意識的に行いましょう。
おすすめはこんな方法です👇
- 「今日は打楽器の音をよく聴いて合わせよう」
- 「次は低音チームを聴いてリズムをそろえよう」
- 「メロディを小さくして、伴奏を引き立ててみよう」
一度に全体を意識するのは難しいので、毎回“聴くターゲット”を決めて練習するのがコツ。
お互いの音を聴き合ううちに、自然と全体のバランスが整っていきます。
音量・テンポ・バランスを「見える化」して調整する
合奏では「音量が大きすぎてメロディが聴こえない」「テンポが速くなりすぎる」といった問題がよく起こります。
それを防ぐために、バランスを“目で見て確認”する工夫を次にご紹介します。
具体的な方法
- 音量を「レベル1〜5」で先生がジェスチャーで指示する。
- テンポが速くなったら、前に立つ指揮役が“手でテンポサイン”を出す。
- 友達同士で録音を聴き合い、「どこが聴こえやすかったか」を話し合う。
「耳だけ」でなく「見てわかる練習」を加えると、テンポや音量の安定感が飛躍的に向上します。
本番を意識した“ステージリハーサル”で仕上げる
合奏は、最後の仕上げで一気に完成度が変わります。
体育館や多目的室など、本番に近い環境での練習を取り入れましょう。
ポイントは以下の3つです。
・立ち位置・楽器配置の確認
音の響き方や、打楽器のタイミングを事前に把握
・曲の始まり方と終わり方を揃える
指揮を見るタイミング、姿勢、顔の向きまで統一
・“緊張対策”を含めたリハーサル
実際の入退場やおじぎも練習し、本番をイメージ
子どもたちは「本番を想定した練習」を重ねることで安心感が生まれます。
「先生の手を見て」「隣の音を聴いて」──この2つを意識できるようになれば、クラス全体がひとつにまとまります。
まとめ:曲選びから本番まで“音でつながる経験”を
前回の記事で紹介した「曲選びの工夫」は、子どもたちの意欲を引き出す大切な第一歩。
今回の「合奏のコツ」は、その意欲を“ひとつの音楽にまとめる力”へと発展させる段階です。
音を合わせることの喜び、仲間と息を合わせる達成感。
この経験こそが、子どもたちにとって貴重な経験になるはずです。
ひとりひとりの「できた!」を集めて、「みんなで出来た!」の感動にして下さい。
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